血漿尿酸値の低減効果

プリン体マイナス効果

摂取されたラクトセラム(オロト酸)は2段階でUMPに変換され,UMPからすべてのピリミジンヌクレオチドが合成されます。ピリミジンヌクレオチドはDNA,RNAに変換されますが,その際に同じモル数のプリンヌクレオチドが消費されます。
従って,摂取したオロト酸に相当する体内のプリン体がDNA,RNAとして消費されるので,その分のプリン体は減少するという事になります。
理論的にピリミジンを摂取すればプリン体は減少しますが,食品の中でピリミジンリッチな食品は乳製品のみです。牛乳中のオロト酸は80㎎/lであり,尿酸値を牛乳で下げるのは困難です。

尿酸の再吸収阻害効果

尿中の尿酸の90%は腎臓の近位尿細管のURAT1(Urate Transporter1)というトランスポーターで再吸収され血液に戻されます。右図のように,オロト酸の6員環構造は尿酸と全く同じであり,オロト酸はURAT1での尿酸再吸収を拮抗的に阻害します。
実際に,経口で2g摂取した4時間後に血漿尿酸値が6.0㎎/dlから5.1㎎/dlまで低下した報告(Metabolism (1980 19:(12)1015₋1025)や,経口で6g摂取後の尿中のオロト酸と尿酸がきれいに相関し,摂取4時間後に排泄ピークを迎えたなどの報告(Nutri.Res.(1983) 3:407∸415)があります。

非常に興味深い事は,URAT1に対する尿酸の親和性(Km)は371μMであるのに対し,オロト酸のKmは5.2μMと,オロト酸の方が2オーダーも親和性が高い事です。URAT1の本来の機能は貴重なオロト酸の再吸収かも知れません。

愛知学泉大の臨床データ

Food Style 2019年10月号に掲載された愛知学泉大の山内先生のデータは以下の通りで,ラクトセラム錠摂取で高プリン体食後の血漿尿酸値上昇の抑制効果,運動後の尿酸値の上昇抑制効果が報告されています。

これらの結果は,痛風発作の予防という観点から特に注目されます。即ち,痛風発作の原因が過飽和状態の血漿中で尿酸の微結晶の析出と考えられており,運動や高プリン体食による尿酸値スパイク(急上昇)を抑制する事は痛風発作リスクを低減できる事が予想されます。今後はビール飲酒後の血漿尿酸値への効果の試験が期待されます。

新着情報・お知らせ

2023/8/7
過酸化脂質生成抑制剤の出願が特許査定になりました。
2023/6/13
血漿尿酸値への効果を追加しました。
2023/5/15
花粉症出願が特許査定になりました。
2023/2/21
第4回日本ヘルスケア学会年次大会で口頭とポスターで発表します。
2022/12/13
暑熱ストレスへの効果を追加しました。 

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