悪玉核酸とは

弊社が定義する悪玉核酸は,尿酸とアデノシンです。尿酸もアデノシンも,低エネルギー状態でATPの分解で生じる核酸です。
エネルギー状態が充足していると,ATPが分解して生じたADPはATPに再生されます。しかし,酸素不足などでエネルギー状態が低い場合には,必要なATPを再生するために2分子のADPから1分子のATPが再生され,生じたAMPは分解されてアデノシン,さらに分解されて尿排泄されます。以下,なぜこれらが悪玉なのかを解説します。

悪玉核酸としての尿酸

核酸と言えばプリン体,尿酸に痛風発作という事で,尿酸が悪玉である事に異存はないと思います。
大事な事は,尿酸は単に痛風発作の原因であるだけでなく,心臓疾患の独立したリスクファクターである事です。特に生活習慣病との合併症が大きな問題にと考えられます。

 

悪玉核酸としてのアデノシン

アデノシンには血管の弛緩作用や催眠作用があります。これは,組織がATPが低下した際,血流を高めて組織に酸素や栄養を補充する事や,ATP回復のための睡眠を誘導するなどで,エネルギー不足を解消するための重要なシグナルとしての働きです。

一方で,喘息患者がアデノシンを吸引すると喘息発作を生じます。この事はアデノシンは情報伝達物質であるだけでなく,喘息やアレルギー直接の原因物質でもあるという事です。アデノシンA2bレセプターへの結合が,肥満細胞の脱顆粒化や気管支収縮を生じる事が知られています。
Th1とTh2の免疫バランスにおいて,アデノシンTh2優位にする事が知られており,喘息・花粉症などのTh2関連の炎症には悪玉の作用となります。

善玉核酸 ラクトセラム

ピリミジンから生成する有用物質

ピリミジンには,多様な生理作用があるだけでなく,ムコ多糖やリン脂質などの重要な生体成分の合成にも不可欠です。

私が特にオロト酸(ラクトセラム)注目するのは,以下のようなメカニズムで悪玉核酸を減らす効果もある事からで,善玉核酸,悪玉核酸の概念を提唱してます。
1.DNA,RNA合成の際に等モルプリンの取り込み(再利用)
2.エネルギー代謝への効果(ATPの分解抑制と悪玉核酸生成の低減効果
3.近位尿細管での尿酸再吸収阻害(尿酸の尿排泄促進)

善玉核酸において非常に重要な事は,他の栄養素と異なり,善玉核酸を顕著に増加できる食品,あるいは善玉/悪玉バランスを改善できるような食品が無いという事です。
核酸のサプリメントでは,白子DNAや酵母RNAなどが有名です。しかしこれらの核酸は善玉核酸と悪玉核酸を等量含んでおり,DNA,RNAを摂取した場合には,悪玉が利用されない結果として,血漿尿酸を増やす事が判っています。。
善玉核酸リッチな食品として乳製品が知られています。しかし,牛乳中には80㎎/l程度の含量で,効果が体感できる200㎎以上の量の善玉核酸を乳製品から摂取する事もできません

乳製品以外にピリミジン含量が高い食品が無いのは,すべての組織で細胞内でピリミジンの合成が厳密に調節されているからです。5FUなどの抗がん剤がピリミジン合成をターゲットにするのも,ピリミジンが細胞分裂の律速栄養素である事を示していると思います。
牛乳中にはプリン核酸はほとんど含まれず,主核酸がオロト酸であるのは,新生牛の成長促進のため(ルーメン細菌への効果?)と考えられます。人の母乳中の核酸はオロト酸ではなく,UMP,CMPというヌクレオチドで存在しますが,母乳においてもプリンに対してピリミジンがリッチで,ピリミジンが重要な成長促進因子である事が判ります。
ピリミジン合成ミトコンドリアの呼吸鎖とリンクしており,加齢や酸化ストレス障害でピリミジン合成能が低下しますが,それを悪玉を増やさずに核酸を補うには,善玉核酸をサプリメントで摂取するしかないという事が,他の機能性栄養成分と大きく異なる点です。

弊社では,このような善玉核酸の多様な効果の活用が,今後の高齢化社会における医療費削減やQOLの改善に有効と考えています。