第4回 日本ヘルスケア学会

区分

予防

演題名

善玉核酸(ラクトセラム®)と健康長寿

核酸栄養の新たな切り口からの提案

代表者名

○古川 令 株式会社古川リサーチオフィス

概要

核酸と言えばプリン体の悪玉のイメージであるが,ピリミジン前駆体のオロト酸(ラクトセラム)で健康長寿に通じる多くの有効性を見出している。

【核酸栄養としてのピリミジン】

オロト酸の生合成はミトコンドリアの呼吸鎖とリンクしており,加齢や酸化ストレスで低下する。アミノ酸が充足しても核酸が不足すればマウスの免疫能が低下し,その免疫能はプリンではなくピリミジン添加で回復した。

【悪玉核酸の尿酸の低減作用

オロト酸は尿酸と同じ6員環構造を有し,腎近位尿細管での尿酸再吸収を拮抗阻害する。ラクトセラム錠(オロト酸200㎎含有)の摂取で運動後や高プリン食後の尿酸値上昇が抑制できた(愛知学泉大)。

【核酸と免疫バランス】

アデノシンは喘息・花粉症の原因(悪玉)に対し,オロト酸はTh1 を優位にする。過去にLTD4誘発喘息薬スクリーニング系でヒットし,好酸球の気道浸潤抑制作用も確認。ラクトセラム錠の花粉症への即効的効果を人で確認した。

【エネルギー代謝への効果】

マウスの安静時,運動時における消費酸素量の有意な低減効果を見出している。人でもラクトセラム2錠で運動時VO2が約5%減少,心拍数が有意に低下する事を二重盲検クロスオーバー試験で確認した(鹿屋体育大・ポスター発表)。

SpO2への効果】

標高4000m相当の低酸素室内で低下したSpO2400㎎摂取後約1時間で改善され,高山病様症状も回復した。睡眠時無呼吸症候群の検査で,睡眠前のラクトセラム錠1錠摂取で睡眠中の無呼吸時のSpO2低下が軽減した。

【暑熱ストレスへの効果】

オロト酸の消費酸素量の低減効果から発熱量とROSの発生の減少が予想された。ブロイラーの暑熱ストレス条件で,0.7%混餌添加で血漿と胸肉の過酸化脂質の上昇が抑制できた(鹿児島大農・ポスター発表)。

【糖尿病への効果】

ミトコンドリアの機能低下はピリミジン不足を生じ,p53発現によるアポトーシスを誘導する。オロト酸はMIN6β細胞のp53に起因するアポトーシスを抑制し,Ⅱ型糖尿病モデルマウスへの1%混餌投与で,膵β細胞死が抑制されインスリン分泌が継続,血糖値の上昇も抑制された(京都府立医科大学)。

【結語】

核酸不足は新陳代謝や免疫能の低下を生じ,善玉悪玉のインバランスは炎症アレルギーの原因にもなる。善玉の核酸を充足させる事でエネルギー代謝効率が改善され,加齢や酸化ストレスに起因する疾患や症状の予防効果が期待される。