Mg塩はドイツでは医薬品

サプリメントの素材が単剤で医薬品というケースはほとんどありませんが,ドイツではオロト酸のMg塩(Magnerot)が循環器系の医薬品です。19の二重盲検の臨床試験のメタアナリシス(603名,投与群603名,平均1.9g,4.2カ月投与)の結果,Magnerotは僧帽弁逸症,Mg欠乏症だけでなく不整脈,高血圧,自律神経系の改善に有効と結論づけられています。 Ter Arkh. 2015;87(6):88-97)

臨床報告はドイツや東欧に多く,英語の論文はほとんどありませんが,2009年に重度のうっ血性心不全患者での二重盲検の臨床効果が報告されました。

被験者は全員NYHA心機能分類のステージIVで,Magnerot40名,プラセボ群39名。6g/日を1ヶ月,その後3g/日を11カ月摂取1年後の生存Magnerot群で有意に高くMagnerot群の4近くがステージIVからステージIIIに症状が改善したのに対し,プラセボ群での改善者はゼロでした。

Magnerotを開発したWörwag Pharma社では,薬効についてはマグネシウムの効果がメインと考えているようですが,オロト酸のフリー体での心筋保護作用も知られているのでオロト酸の方がより薬効に寄与していると考えるのが自然と思います。

Mgをオロト酸塩とした背景には,当時のドイツでは,Dr.Hans Alfred Nieperという医師(ドイツ腫瘍学会会長)が,オロト酸はミネラルとのキレート結合の結果,もっとも効率的にミネラルを供給できるという仮説を提唱し,Mg塩,Ca塩,Li塩などでの臨床報告を行った事によると考えられます。

しかし,Dr.Nieperの仮説の論拠となる論文は無く,おそらく,オロト酸のミネラル塩はすべて水への溶解度が非常に低いのでミネラルはイオンではなくキレート結合の形で細胞に移送される(はず)という解釈かと予想します。キレート結合と吸収については改めて書きたいと思います。

 

フリー体の心筋保護作用
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