善玉核酸を科学する
株式会社 古川リサーチオフィス
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DNAやRNAはプリンとピリミジンが等モル含まれます。核酸を経口摂取した場合の主な生成物はDNA,RNAであり,血漿尿酸値に変化はないと思われますが,実は血漿尿酸値は上昇します。
これは,経口摂取されたDNA,RNAがプリンとピリミジンに分解され,ピリミジンは吸収されてDNA,RNAへと変換されるのに対し,プリン体は利用されずに尿酸に変換されるからです。
これは,プリン体であるアデノシンが血管や炎症などでの重要な情報伝達物質であり,食事によって情報伝達系が攪乱される事を防ぐメカニズムと考えられています。
実際に,DNA,RNAの経口摂取により,尿酸の尿排泄が亢進し,尿排泄に相関して血漿尿酸値も高まる事がヒト試験で確認されています。
1990年代,当時徳島大学医学部でアミノ酸・核酸栄養を研究されていた山本茂教授が,コホート研究で高齢者への核酸投与効果の介入試験を行ったそうです。経口投与の核酸には,高知医科大の小越章平先生によるOG-VI(プリンのイノシン,GMP,ピリミジンのシチジン,ウリジン,チミジンが4:4:4:3:1)が使用されました。OG-VIは,当時大塚製薬が核酸輸液として臨床開発を進めていたものです。DNAなどと同様にプリンとピリミジンが等量含まれているため,被験者の尿酸値が上昇した結果,介入試験が中止されたという話を山本先生から伺った事があります。
この時,OG-VIではなくピリミジンのみの投与であれば,尿酸値の問題が生じずに核酸栄養に対する認識も変わったのではないかと考えます。