善玉核酸を科学する
株式会社 古川リサーチオフィス
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免疫にはTh1関与の自然免疫とTh2関与の獲得免疫のバランスが重要です。喘息・花粉症,アレルギーなどはTh2が優位になり過ぎた結果と考えられてます。
悪玉核酸のアデノシンは,アデノシンA2bという受容体(レセプター)を介して,IL-4やIL-6の放出,マスト細胞からのヒスタミン放出など,Th2型の炎症を亢進します。アデノシンの吸引が喘息発作を惹起する事や,アデノシンデアミネースというアデノシン分解酵素を遺伝的に弱くしたマウスでは,アデノシンレベルの向上にともなう肺の炎症を生じる事からも,アデノシンは単なる情報伝達のメッセンジャーではなく,Th2型の炎症の原因物質です。
一方でピリミジンはTh1優位に働きます。アデノシンの減少によるバランス是正効果だけでなく,直接の作用も知られています。
自然免疫も獲得免疫もどちらも重要で,そのバランスが肝要です。自然免疫の暴走がリウマチです。リウマチ薬レフルノミドの作用機序は,オロット酸を生成するDHODHの特異的な阻害によるピリミジン過剰合成の抑制です。
獲得免疫の暴走の例が,新型肺炎で有名になったサイトカインストームです。新型肺炎では,喘息と同じロイコトリエンD4(LTD4)の高揚が知られており,ラクトセラムはLTD4受容体拮抗作用による抗喘息作用が確認されており,免疫バランスの是正効果と合わせて,新型肺炎の重症化の予防効果も期待されます。