善玉核酸を科学する
株式会社 古川リサーチオフィス
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核酸には,プリンとピリミジンという塩基があり,リボースと結合してヌクレオチドとなり,イオン結合でDNAの二重らせん構造ができている事などはご存じと思います。また,核酸と言えばプリン体,痛風発作の悪いイメージが強いのも事実です。
しかし,ピリミジン合成がミトコンドリアの呼吸鎖とリンクしている事や,すべてのピリミジンの前駆体である善玉核酸のラクトセラムと悪玉核酸の尿酸が,共通のウラシル構造を持つ事などはあまり認識されていない事かと思います。
同じ核酸でもプリンとピリミジンは役割が異なり,プリンはATPやNADなどの構成成分で細胞内に潤沢に存在します。一方のピリミジンは新陳代謝や細胞分裂をコントロールするために厳密にコントロールされています。例えば,分裂盛んな免疫細胞においては,ピリミジンが不足すると免疫能が低下します。また,Th1/Th2バランスがプリンとピリミジンの影響を受ける事も判っており,プリンとピリミジンの核酸バランスも大事な要素になっています。
プリンの最終代謝物である尿酸と,すべてのピリミジンの出発物質であるラクトセラム(Orotic acid)が共通のウラシル構造を有する事で,腎臓近位尿細管での再吸収で拮抗する事は,プリンとピリミジンのバランス調整の機能とも考えられ,大変興味深いと思います。