善玉核酸を科学する
株式会社 古川リサーチオフィス
〒157-0066 東京都世田谷区成城4丁目23-12
オロト酸の抗疲労作用をマウスの強制遊泳時間が延長できる事で確認しました。抗疲労効果のメカニズムとして,強制遊泳前(一晩絶食)の肝グリコーゲンレベルが有意に高い事や遊泳時の血糖値が維持されることなどが判りました。脂肪燃焼の可能性も考えてマウスの呼気分析を行った結果,安静時も運動時も消費酸素量(VO2)も二酸化炭素排出量(VCO2)も有意に減少している事が見出されました。即ち,ラクトセラムの摂取で必要酸素量が低減する事が明らかになりました。
酸素消費量が減少できる物質にはモルヒネがありますが,このように運動時でも効果がある物質は過去に見つかっておらず,多くの臨床応用の可能性があると考えます。
その後,オロト酸投与ラットでの試験でも,同じ運動タスクを少ない酸素量でこなせる事も確認し,人での効果の検証を行いました。人でも酸素の消費量が減少するのであれば,低酸素室で低下した動脈血酸素飽和度の値を改善できるはずとの仮説を立て,ミウラドルフィンズの低酸素室(標高4000m相当)で検証できました。
被験者は低酸素室では81%付近までSpO2が低下し,軽い高山病様の症状を体感しましたが,吸収性の良い処方で400㎎を単回摂取後は1時間程度でSpO2が数%改善し,高山病様症状も無くなりました。その間,呼吸方法は一定で,心拍数の変化もありませんでした。別の被験者では,同じ条件でSpO2が70%付近まで低下しましたが,ラクトセラム摂取後に80%以上に回復するなど,回復データの再現性は確認済です。低酸素室で低下したSpO2が改善した事で,消費酸素量の低減効果が人でも確認されました。
SpO2の臨床に関しては1例だけですが,特発性肺線維症の患者さんのSpO2の改善と痰の半減効果を確認しております。
オロト酸の接種で必要な酸素量が低減する事のであれば,睡眠時無呼吸症候群での効果も期待できます。睡眠時無呼吸症候群の簡易検査においてラクトセラム錠の摂取効果を調べた結果,ラクトセラム錠を就寝前に摂取すると,同じ無呼吸時間でSpO2の低下が少ない事が判明しました。これはラクトセラム錠の摂取で消費酸素量が減少した結果の効果と考えられます。
睡眠時無呼吸症候群で国内で唯一承認されている治療薬のダイアモックス(アセタゾラミド)は炭酸脱水酵素の阻害剤で,水素イオンを増加させる結果として呼吸中枢を刺激し無呼吸時間を軽減するもので,ラクトセラムとはメカニズムが異なるだけでなく,ラクトセラムでは副作用の心配もありません。
ラクトセラム摂取によるプロのダイバーの潜水時間延長効果も報告があります。また競泳選手などでの有効性も期待されます。アスリートは能力最大の呼吸を行っているはずで,呼吸中枢を刺激しても酸素吸収量が増えるとは思えないので,ダイアモックスではアスリートのパーフォーマンスへの効果は期待できないと考えます。
ラクトセラムの摂取で消費酸素量が減少する事が,低酸素室で低下したSpO2の改善で実証できました。低酸素室では低下したSpO2が改善しましたが,通常の酸素濃度条件では組織の酸素が充足する結果として,心拍数の減少が予想されました。実際にラクトセラム錠の摂取後の安静時に心拍数が低下する事やマラソンでの後半の心拍数の上昇抑制効果なども得ています。さらに,低酸素室で毎週同じ運動負荷でトレーニングを行うアスリートの試験でも,トレーニング前に摂取すると,前後の週に比べてトレーニング時の心拍数の上昇が少なく,SpO2の低下も少ないという結果も得られています。
ラクトセラム錠には,アスリートのパーフォーマンスの向上だけでなく,例えば高齢者の動悸息切れなどへの効果も期待されます。
消費酸素量と二酸化炭素排出量が減少する事は,計算上は基礎代謝量が低減している事になります。もし基礎代謝量が減少すれば,同じカロリーを摂取すると体重が増加するはずです。しかし,オロト酸の摂取で体重がコントロールより増加したのは糖尿病モデルのdbdbマウスだけ(発症せずにインスリン分泌が継続し,結果としての体重増加)で,人でも体重増加はありません。
基礎代謝への影響の有無を確認すべく,マウスのカロリー制限試験を実施した結果,ラクトセラム群はコントロール群と同じ体重減少を示しました。従って,必要酸素量の低減効果は,基礎代謝量の減少ではなく,酸素の利用効率の改善効果と考えています。車で言えば,燃費の改善でアメ車がプリウスになるようなイメージです。
酸素の利用効率が改善するという事は,活性酸素の発生が減少するという事になり,老化や酸化ストレス障害に起因する症状や疾患の予防効果も期待されます。ブロイラーの酸化ストレスである暑熱ストレスモデルにおいて,指標となる過酸化脂質の上昇を抑制できる事も確認しました。その際,ビタミンCのレベルに差はありませんでした。この事は,ラクトセラムによる抗酸化ストレス障害のメカニズムはビタミンC,Eとは異なるメカニズムであると考えられます。