オロト酸の安全性について

マウスではオロト酸5%含有食餌での安全性が確認されており,人では医薬品での長期使用実績,乳児での食経験から,オロト酸の1g程度の摂取における健康リスクは想定されません。ここでは,オロト酸の安全性に関する情報を紹介します。

人での長期実績

オロト酸Mgはドイツで心臓病の医薬品(1~3g/日)として数十年以上の実績があります。また,健常人で3g/日90日間,アスリートで6g/日28日間などの臨床試験で有害事象の報告はありません。

国内での医薬品としての実績

オロト酸は現在第3類医薬品原料として,200㎎/日までの添加が厚労省から認められています。ビタミンB様の成分という事で,滋養強壮や蕁麻疹などの用途が認められています。200㎎という用量設定の根拠はどこにも記載が無く不明ですが,1960年代にオロト酸が肝臓病の処方薬として武田薬品や小野薬品,田辺製薬などの大手製薬企業が販売しました。その際600㎎/日の用量が推奨されていたので,その3分の1の値が設定されたのかも知れません。

乳児での食経験からの換算

牛乳中のオロト酸は80㎎/ℓ,6カ月の乳児(体重8㎏)が800mℓの摂取の場合,オロト酸の摂取量は64㎎/日となります。体重当たり8㎎で60㎏の大人で480㎎/日の食経験となります。乳児は成人と比べて安全性への感受性が高い事からも,乳児での食経験は高い安全性を示していると言えます。

妊婦,胎児でのオロト酸

妊娠時には,20~40㎎/日のオロト酸を妊婦は尿排泄します。これは,胎児の成長のために十分量のオロト酸を妊婦が体内で生成して胎盤を通じて胎児に供給し,余剰分を尿から排出していると考えられます。
成人では1gのオロト酸の摂取で約70㎎が尿排泄されます。ラフな計算ですが,妊婦では約0.5gのオロト酸を体内で胎児のために合成しているとも考えられます。オロト酸は,胎児にとって重要な栄養であり,胎児の体重から考えれば極めて多量のオロト酸(推定0.5g)が毎日母体から胎児に供給されている計算になります。この事からも,オロト酸は極めて安全性の高い生体成分であると判断できます。

オロト酸と脂肪肝

弊社では,オロト酸による消費酸素量の低減効果など,極めてユニークな生理作用を世界で初めて見出しています。過去にオロト酸の生理作用に関する研究が少なかった理由として,公知物質なので医薬品開発ターゲットにならない事が理由と考えますが,それ以外に安全性への間違ったイメージの問題があると考えています。その例がラットによる脂肪肝です。

ラットに1%オロト酸含有のカゼイン精製飼料を投与すると確実に脂肪肝が生じるので,オロト酸は脂肪肝の実験モデルにもなっています。しかし,この脂肪肝はラット特異的かつ,カゼイン精製飼料特異的な現象で,ラット以外の動物(マウス,モルモット,猿,人など)では認められないだけでなく,ラットにおいても,カゼイン精製飼料特異的です。大豆粕などを含む一般飼料では見られないだけでなく,カゼイン以外の精製蛋白,カゼインと同じ組成のアミノ酸などでも脂肪肝は認められません。

オロト酸による脂肪肝の原因は,ピリミジン/プリン比のインバランスでプリンヌクレオチドの不足の結果,肝臓がATP不足になる事が原因です。ラットは種特異的にピリミジン比率が高く,さらにカゼインもピリミジン比率を高めます。その条件でオロト酸1%含有する食餌を摂取するとプリンヌクレオチド不足に起因するATP不足が生じます。

脂肪肝の原因はオロト酸の毒性ではなく,核酸のインバランスである事は,オロト酸の1割のアデニンの添加で脂肪肝は見られなくだけでなく,生成した脂肪肝もアデニン添加飼料で完全に回復する可逆的な現象である事からも証明されています。

ラットでは,オロト酸で肝臓でのプロモーション様作用の報告がありますが,これもピリミジン/プリンのインバランスが原因で,アデニン添加でプロモーション様作用は消失します。マウスでは5%のオロト酸投与での核酸インバランスは認められておりませんし,特に人では尿酸値が問題視されるようにプリン体過多が問題になっているので,核酸のインバランスの心配は全くないだけでなく,逆に血漿尿酸値の低減効果が期待できます。

欧州食品安全機関(EFSA)の見解

EFSAは,オロト酸の塩がミネラル供給用のサプリメントとして過剰に摂取される可能性を懸念し,その安全性についてネットで見解を公開しています。
結論として「オロト酸の塩を全てのミネラルの供給のためのサプリメントとして利用する事は安全性上推奨しない」としています。但し,EFSAが安全性への懸念を考察する際の計算に使用されたオロト酸量は11g/日という極めて高用量であり,特定のミネラルのオロト酸塩の摂取まで問題視するものではありません。

EFSA以外では,カナダの厚労省に相当するHealth Canadaがオロト酸リチウムについてワーニングを出しています。しかし,これもオロト酸の安全性を問題視したものではありません。カナダのPrescription Drug Listには,“Lithium or its salts”と記載されているので,リチウム塩はすべて処方薬に分類されます。Health Canadaによるワーニングは,オロト酸リチウムがAmazon.caでサプリメントとして販売されてる事に対する警鐘でした。ちなみに国内でも炭酸リチウムは双極性鬱に対する処方薬です。北欧ではリチウムのオロト酸塩が副作用が少ない事を理由にサプリメントで人気があった事への警鐘でした。

体内動態から見た安全性

オロト酸は体内ではピリミジンヌクレオチドに代謝され,プリンヌクレオチドとペアになりDNA,RNAが合成されます。多くの成人で血漿尿酸値が問題になっているように,人の体内ではプリン体が過剰ですので,オロト酸の摂取はプリン体を削減するメリットがあります。

オロト酸の安全性は,尿排泄からも説明ができます。オロト酸の体内合成は厳密にコントロールされているだけでなく,経口摂取などで過剰なオロト酸は速やかに尿排泄されるので体内への残存の問題もありません。

オロト酸は生体成分であり,体内での生合成が厳密に調製されているだけでなく,過剰分が速やかに排泄されるので,機能性食品素材の中でも安全性が高い成分であると考えられます。

新着情報・お知らせ

2026/10/13
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